商品を購入する際に内容を調べてから購入する人はきっと多いはず。
スーパーやコンビニであれば、値段以外にもカロリーや糖質量、栄養成分を確認した上で購入するであろう。
家電製品も同じで、消費電力や機能を調べた上で比較購入している事がほとんどだ。
今回はテレビを購入する上で、カタログや店頭の値札に書かれているワードの「パネル方式」について紹介していこう。
液晶テレビのパネルの種類と有機ELの違い
テレビの命と言い切っても過言ではない液晶パネル。
外見はほぼ同じに見えるテレビでも、液晶パネルの種類が違えば表示される映像はそれぞれ異なる。
現在販売されているテレビの主な液晶方式は下記の3つである。
VA液晶パネル
まずはVA液晶パネルについて。
24インチ〜37インチまでの比較的安く購入できる液晶テレビは、大半がVA液晶パネルである。
VAパネルのメリット/デメリットについてだが、
メリット | 高いコントラスト比 液晶パネル方式としては応答速度が早い 価格が安い リフレッシュレートは144Hzまでサポート |
デメリット | 色合いはそこまで鮮やかではない 視野角は他のモニター方式に比べて劣る |
である。
コントラスト比が高く、応答速度が早い液晶なので、スピード重視なアクションゲームやスポーツ観戦などには最適だ。
また、液晶パネルを製造する上で掛かるコストが安いので、テレビの価格も抑えることも可能。
また、液晶パネルのしゅるいとしては高いコントラストを誇るので、パキッとした締まった映像表現が得意である。
リフレッシュレート、と聞くと馴染みがない方も居ると思うが、1秒あたりに何枚の映像を描くことが出来るかの性能である。
ビデオカメラの性能であるフレームレート(◯◯fps)と近いものであると考えてもられば良い。
パラパラマンガを書く時に、枚数を多く描いてパラパラ捲ると滑らかに見えると考えて貰れば分かりやすいはずだ。
ただし、苦手な分野ももちろん存在する。
VA方式は、どうしても視野角が狭いので、斜めから見ると白っぽく見えたり色合いが変わって見えてしまうので、大型テレビを2~3人で見るといったシチュエーションには向かない。
1~2人用テレビや、ニュースやスポーツ観戦用のテレビとして購入する場合にはオススメできる液晶方式である。
IPS液晶パネル
37インチ以上のテレビにも採用されることが多いIPS液晶パネル。
テレビ以外にもパソコン用モニターやスマートフォン、携帯ゲーム機に採用されている。
IPS液晶パネルの主なメリット/デメリットとしては
メリット | 視野角が広い 色再現率が高い 小型〜大型まで様々な大きさに対応出来る |
デメリット | 液晶パネルの製造にかかるコストが高い VAパネルに比べて応答速度は遅くなる コントラストがVAパネル方式に比べて低い |
が挙げられる。
他の液晶パネルにはない特色として、色再現率の高さが最大の強み。
色再現率が高い、すなわち発色が鮮やかという事だ。
また、視野角が格段と広くなり、斜め方向から見ても色味が変わらないので、大画面のテレビに向いている。
ドラマやアニメ、Netflix等のVOD配信サービスを良く視聴する人にオススメしたい液晶方式である。
有機ELパネル
ここ数年、賑わいを見せている有機ELパネル方式のテレビ。
液晶パネルとはそもそもの作りが違い、液晶パネルのデメリットを克服すると言っても過言ではないくらい性能が良い。
そん有機ELパネル方式のメリット/デメリットについてだが、
メリット | 液晶ディスプレイに比べ 遥かに高画質 コントラスト比がとても高く鮮明な映像 液晶ディスプレイに比べ 応答速度も速い |
デメリット | 製造コストが高い 液晶パネルと比べ寿命が短い |
などがある。
最近になり、高級モデルのスマートフォンにも有機ELディスプレイが採用されており、だいぶ身近な存在になってきた。
有機ELパネル最大の特徴としては、その高画質である。
先程挙げたIPS液晶パネル方式だと1677万色数対応までが多いのだが、有機ELディスプレイであると10億色もの表現が可能な製品も登場している。
また、応答速度も非常に早く、液晶の10倍近い速さを誇る。まさに最強のディスプレイと言えるであろう。
ただし、そんな有機ELパネルにもデメリットがある。
まずデメリットとして有名なのは、寿命の短さ。
有機ELは構造上、焼付きが起きやすい性質がある。
galaxyなどの有機ELスマートフォンを数年間使ったことがある人であれば、画面にシミのような模様が出たり、黄色く変色することがあるのを見たことがあるはず。
液晶モニターでも同じく焼付きは起きやすいが、有機ELは特に起きやすいので、量販店などで購入する際には必ず保証範囲で対応して貰えるか確認しておきたい。
オススメしたいユーザーとしては、映画やゲームなどを、大画面テレビで心ゆくまで楽しみたい人にはうってつけである。
テレビを買う時に確認すべきポイント
ここまで、各ディスプレイの特徴を紹介してきた。
次に、液晶ディスプレイごとの違いについて説明した上で、購入時に確認しておきたいポイントも紹介しよう。
液晶パネル
液晶パネルについてだが、メーカーのカタログなどに書いている場合と、書いていない場合がある。
簡単な見分け方についてだが、
- 37インチ未満であればVAパネルが多い
- 40インチ以上でも安いテレビであればVAパネルの可能性あり
- 50インチを超えれば大半がIPS液晶ディスプレイ
- メリットが多い有機ELやIPS液晶であれば目立つ所に書いてるはず
であることが多い。
量販店で購入する際であれば、販売スタッフに相談すれば調べてもらうこともできるし、テレビの型番を、Googleなどの検索サイトにて入力すれば詳しい情報を調べることも可能だ。
後ほど詳しく後述するが、液晶パネルと有機ELパネルの時点で画質や価格も異なってくるので、自分の視聴したい環境に合わせて購入して欲しい。
バックライト
液晶ディスプレイのテレビを購入するのであれば気にして欲しい点として、バックライトの仕組み。
はじめに液晶ディスプレイの仕組みを、簡単に説明しておく必要がある。
薄く見える液晶パネルは、実は複数の層が重なっており、大きく分けると表面から順に
- 偏光パネル→液晶パネル層→バックライト
といった構造から成っている。
偏向パネルは、液晶層から放たれた光を肉眼で捉えられるように変換してくれる。
液晶パネル層は電極から電気信号を受け、RGBカラーフィルターにて映像を表現するだけ。
ゲームボーイなど昔の携帯ゲーム機が、昼間だと映像が見えるが、夜だと明かりがなければ見えないのを想像してもらえると分かり易いはずだ。
その映像をバックライトパネルから光を当てて、暗い場所などでも見えるようになっている。
また、バックライトにも種類があり、主に”直下型”と”エッジ型”の2種類が存在する。
それぞれのバックライト方式は下記の特徴がある。
直下型
メリット | 画面すべてのエリアを均等に照らすことが可能 コントラストが高く、ハッキリとした映像になる |
デメリット | 製造コストが高くなる 消費電力が上がる |
エッジ型
メリット | 照らすライトパーツが上下だけなので薄型に仕上がる パーツ数が少ないので省電力にも貢献 |
デメリット | 夜景などの黒っぽい色が苦手で白っぽく見える 直下型と比べ少しボヤっとした映像になりやすい |
一見すると、直下型を採用しているテレビの方がメリットがよく見えるのだが、エッジ型にしかないメリットも存在する。
有機ELテレビは高くて手が出せないけど、発色が豊かな映像を好むのであれば直下型を、そこまでこだわりがないのであればエッジ型を候補にしても良いと思う。
視野角
実用する上で意外と気になるのが、視野角の広さ。
液晶ディスプイレイの仕組みによって、それぞれの特徴に差があることが分かったと思うが、ここからは視野角について説明しよう。
液晶ディスプレイごとにまとめると、
VA方式
特徴 | コントラストが高くはっきりとした映像を写せる 応答速度が速い反面、視野角は狭め |
向いているシーン | 正面から見るレイアウト アクションゲームをよくプレイする人 スポーツ中継をよく見る人 |
IPS方式
バラエティ番組やニュースを見ることが多い人
メリット | 色再現率が高いので、鮮やかな映像が得意 色鮮やかではあるが、応答速度がやや遅い |
向いているシーン | リビングで大人数にて視聴するレイアウト Netflixなどで映画をよく観る人 |
となる。
有機ELディスプレイであれば、応答速度/色再現率/コントラスト比すべてに置いてトップクラスではある。
しかし、その分価格面も上がる上に電気代もあがってしまうのだ。
使用する目的においては液晶ディスプレイ方式でも、全く問題ないので、視聴環境に応じて適切な商品を購入して欲しい。
消費電力
大型家電や、日常利用する家電であればあるほど気になるのが、消費電力である。
もちろん大画面のテレビになればなるほど消費電力も増えてしまうのだが、同じ液晶ディスプレイのサイズであっても、それぞれの液晶パネル方式によって電気代に差が生まれる。
先ほど液晶ディスプレイの構造について触れたように、液晶層とバックライトパネルに電気を送り、映像を表示する。
その為、液晶ディスプレイ方式は有機ELディスプレイ方式に比べて、消費電力が大きくなりやすい。
ただし、テレビに限っては有機ELディスプレイの方が消費電力が大きくなる場合もある。
有機ELディスプレイは、液晶分子層やバックライトのパーツを持たず、電気の当たった有機発光素子が直接発光する仕組み。
したがって、有機ELディスプレイは本来省エネになるはずなのだが、テレビにおいては少し話が変わってくる。
テレビにおける有機ELディスプレイの消費電力が増える要員として、
- RGBWカラーフィルターを採用しているため
- 再生する映像の傾向のせい
- スペックが高い為、処理するシステム部も電力を食う
である。
最近の高級なスマートフォンであれば有機ELディスプレイを搭載し、省電力を謳っているモデルが存在する。
ただし、スマートフォンの有機ELディスプレイはRGB方式AMOLEDタイプが多い、
このAMOLEDといパネルは、省電力/応答速度/色再現率において非常に完成度が高いのだが、コストがかかる為、テレビのような大画面には向かない。
そこでテレビ用の有機ELディスプレイには、カラーフィルター方式といったタイプのものが使用されている。
簡単に説明すると
とは言えどRGB方式に比べても差はほとんどわからない
RGB方式 | 省電力化された設計 応答速度や色再現率は一番高い コストがかなり掛かるのでテレビ等には不向き |
カラーフィルター方式 | 製造コストを下げられる 黒色の表現が締まって見えるが、映像によっては暗く感じる |
である。
現状としてはテレビはカラーフィルター方式でも十分であり、ましてや液晶ディスプレイモデルと比べれば感動するほどの差。
話を消費電力に戻して、次にテレビのスペックについて。
有機ELテレビの特徴として、高性能という点である。
映像以外にもスマートスピーカー連動で家電を操作したり、インターネット配信サイトへアクセスすることも可能。
機能がが上がれば、もちろん消費する電力も増えてしまう。
また、液晶モデルと違うのもこの点が含まれる。
現在オンライン通販サイトなどを確認してみても、ここ最近の大型テレビは、半分近くが有機ELディスプレイを採用している。
50インチ前後のテレビも、今となってはローエンドモデル~ミッドレンジモデルの、安価な値段帯の製品に搭載されているケースが多い。
よって、有機ELテレビは電気代が掛かると言われてしまうのであろう。
まとめ
いかがだっただろうか。普段よく使うことが多い製品であったにも関わらず、意外と知らない知識が多かったと思う。
購入する点において大事になるのが、「実際に購入した後のイメージ」を意識できるかの違い。
あらかじめテレビが置けるスペースにて、メジャー等で大きさを図り、必要なシーンを考えながら購入すれば間違いは起きないであろう。