掃除機と家電量販店では、ほとんどがコードレス掃除機ばかり売れている。キャニスター掃除機がとにかく販売台数が大幅に減少している。
そもそもコードレス掃除機の何がいいのかご存知だろうか?
今回はコードレス掃除機のメリット・デメリットを紹介していこう。
コードレス掃除機とは?
まずは基礎から解説していこう。今までの掃除機と何が違うのか分かりやすく解説している。
コードレス掃除機の基礎
コードレス掃除機とは、コンセントと掃除機がつながっている電気コードがないタイプの掃除機。使用前に内蔵バッテリーに充電し、電気コードを使わずに掃除する仕組みになっている。
コードレス掃除機自体は、何十年も前からあったが、吸引力に劣っていたため、ハンディタイプなどに限られていた。
最近はバッテリーの長時間使用が可能になり、コードレスでない掃除機と同じような強力な吸引力を備えた掃除機として、広く普及するようになってきた。
コードレス掃除機の構造
コードレス掃除機とコードレスでない掃除機の大きな違いは、バッテリーを内蔵しているかどうかである。
コードレスでない掃除機は、コンセントに挿した電気コードに続いているプラグから電力を得て働く仕組みになっている。
一方、コードレス掃除機は、内蔵されたバッテリーに充電して掃除する仕組みになっている。
バッテリーとモーターは、コードレス掃除機のかなりの重量を占めるパーツなので手元に配置し、パイプから吸い込み口にかけては軽くして、重心を手元に持ってくるよう構造にしているタイプが多い。
スイッチは、コードレス掃除機もそうでない掃除機も同じようなオンオフスイッチになっているものが多いが、ダイソンのようにトリガータイプを採用し、オンオフの切り替えが容易にしているものもある。
コードレス掃除機ってどうなの?
コードレス掃除機は、コードレスでない掃除機と比べて、総じて価格が高い傾向がある。だが、その使い勝手の良さはコードレスでない掃除機と比べると一目瞭然である。
しかも以前のコードレス掃除機はバッテリーが長くても20分前後しか使用できなかったのだ。しかもバッテリーの劣化が早く2年前後で交換が多かった。
モーターの性能は微妙でコード付きのキャニスター掃除機の方が吸引力は強かった。
そんな事情で、コードレス掃除機は予備の掃除機、2台目としてしか使いにくかったのだが、今ではメインの掃除機としても使えるほどの性能と使い勝手を有するに至っている。
今はバッテリーが60分使用ができ、3年から5年はしっかり使用ができるので安心していただきたい。
紙パック式とサイクロン式
コードレス掃除機の集じん方式は、紙パック式とサイクロン式の2タイプある。
紙パック式
紙パック式は、吸い取ったゴミやホコリを紙パックに溜め込むタイプの掃除機である。
サイクロン式が登場するまでは、この仕組みの掃除機がほとんどであったので、掃除機=紙パック式といっても過言ではなかった。
①お手入れが楽
紙パック式の特徴は、サイクロン式と違いダストカップの手入れが不要で紙パックを入れるだけのタイプ。
紙パック式掃除機では、紙パックが第一段階目のフィルターを兼ねている。
最も汚れが溜まり、メンテナンスしなければならないのが、第一段階目のフィルターであるので、紙パック式掃除機では、紙パックを交換するだけでフィルターのお手入れができるのでとても便利である。
もちろん、ゴミを捨てるのも紙パックを捨てるだけなので、簡単で衛生的である。
そして、吸い込む際にゴミやホコリが圧縮されるので、意外と紙パックにはゴミやホコリがためられるので、交換の頻度も少なくて済む。
②故障が少ない
紙パック式では、サイクロン式のようなゴミやホコリを分離させるための複雑な機構は必要ない。
ゴミやホコリの吸い込み口からモーターに続く空気の通り道に紙パックを挟み込むだけである。
シンプルな設計になっているから故障が起きにくい。
③紙パックを購入が必要
紙パックは、ゴミがたまったら交換をしないといけない。
満タンになるたびに、新しいものに交換する必要があるわけだが、交換するためには紙パックを前もって購入しておかなければならない。
紙パックを備蓄しておく手間や、紙パックを購入するコストがかかることが、紙パック式のデメリットである。
サイクロン式
サイクロン式は、ダストボックスにゴミやホコリを溜め込むタイプの掃除機である。
したがって、紙パックがない。
①サイクロン機構
サイクロン式掃除機の最大の特徴が、その心臓とも言えるサイクロン機構である。
サイクロン掃除機では、吸い込んだ空気を急速に回転させて、そこに混じっているゴミやホコリに遠心力をかけることでゴミやホコリと空気を分離させている。
ゴミやホコリはダストカップに集め、ゴミやホコリがなくなった空気を排出するという仕組みである。
きれいな空気を排出するという点は、空気清浄機のような仕組みとも言え、三菱電機のように空気清浄機としても利用できるコードレス掃除機を発売しているメーカーもある。
②紙パックを購入しなくていい
紙パックを使わないので、紙パックを購入する必要がない。
あくまでもダストカップにたまったゴミやホコリを捨てるだけなので、紙パックを購入しない分、メンテナンスコストが安くすませられるのだ。
もちろん、紙パックを買い忘れて、掃除ができないという事態も防げるぞ。
③お手入れが欠かせない
サイクロン式はフィルターのお手入れが必要になるのだ。また、紙パック式よりもゴミのたまる量は少ないからこまめに掃除をする必要がある。
お手入れをサボると、目詰まりが起きて吸引力が落ちることもある。
なお、ダストカップからゴミやホコリを捨てるときに、ゴミやホコリが舞い散ってしまう可能性もあるので、舞い散ってしまった場合は、その処理も必要となる。
操作性はどうなの?
詳しくは後述するメリットの面で説明するが、コードレス掃除機は準備や後片付けが必要ない。
コードレス式でない掃除機は、まず押し入れなどの収納場所から出してきて、電源コードを引き出し、コンセントにプラグを差すという準備が必要だが、コードレス掃除機はそうでない。
コードレス掃除機は、電源コードを引き出す手間も、プラグをコンセントに差す必要もない。
使い終わった後も、コンセントからプラグを外したり、電源コードを巻き取ったりすることもない。
充電スタンドに立てかけて充電しているので、汚れやゴミが気になった時に、気軽にサッと掃除機を使える手軽さがある。
操作性が優れているのもコードレス掃除機の特徴だ。
コードレス掃除機のメリット
コードレス掃除機のメリットは、使い勝手のよさにある。具体的なメリットをみていこう。
コードレス
コードレス掃除機の最大の特徴であるコードレスという点についてみてみよう
差し替えなくてもいい
コードレス掃除機は、コンセントとコードで接続する必要がないから電源コードそのものがない。
当然のことながら、掃除機に限った話ではないが電源コードの長さには限りがある。
コードレスでない掃除機を使っている方なら経験があると思われるが、掃除機がコンセントから離れるとコンセントを差し替えないといけない。
もし電源コードの長さギリギリのところで無理に使うと、差込プラグに変な力がかかり、プラグそのものが変形してしまうこともある。
いちいち、電源コードのプラグを差し替えなくていいのは、なかなか便利である。
電源コードを引き出さなくてもいい
掃除機の電源コードは、よく見てもらうと黄色いテープと赤いテープが貼ってある。
黄色いテープは、少なくともここまでは電源コードを引き出すようにというサイン、赤いテープは反対にこれ以上引き出すなというサインである。
コンセントからどれだけ近いところであっても、黄色いテープが出てくるまではコードを引き出さなくてはならない。
これは手間であるので、そんな必要がないコードレス掃除機は近いところも使いやすいと言える。
収納しなくていい
コードレスでない掃除機は、掃除が終わったらプラグをコンセントから抜いて、電源コードを掃除機本体に巻き取って収納しなければならない。
掃除機が新しいうちは、スルスルと巻き取られていくのだが、古くなるにつれて巻き取り性能が低下していく。
電源コードの収納の手間がかからないのも、コードレス掃除機の嬉しいポイントである。
車の中の掃除にも使いやすい
車の中の掃除をしたい時、近くにコンセントがあることはほとんどない。
コードレスでない掃除機しか持っていないときは、家のコンセントから延長コードをつないで使うか、諦めてガソリンスタンドなどで掃除してもらうかとなる。
そんな時でもコードレス掃除機なら、コンセントにプラグを挿しておく必要がないので、簡単に掃除できるのだ。
軽量で移動がしやすい
コードレス掃除機にはバッテリーが内蔵されているので、コードレスでない掃除機と比べて重たそうに思われるかもしれない。
例えば、ダイソンの最新型コードレス掃除機であるV11の本体質量は2.72[kg]である。
パナソニックのパワーコードレスMC-SBU830Jも本体質量2.4[kg]だし、シャープのコードレス掃除機EC-AR2Sに至っては、なんと1.5[kg]だ。
これほどまでに軽くなると、部屋から部屋への移動だけでなく、1階から2階へといった上下方向の移動も楽にできる。
しかも、人間工学の視点を取り入れて設計がなされるようになった結果、片手でも持ちやすいデザインのコードレス掃除機が登場するようになり、軽さと相まって、今ではとても使いやすくなっているのだ。
吸引力が強い
コードレス掃除機の吸引力に重要なカギとなるのが、モーターの性能である。
ダイソンのV11が搭載している『ダイソン デジタルモーターV11』のように、コードレス掃除機の多くは、強力なモーターを搭載している。
デジタルモーターV11は、前モデルのデジタルモーターV10と比べて吸引力が25%もアップしている。
しかも、吸気経路を直線的に配置することで吸引効率を高め、強力なV11モーターと相まって、吸引力を高くしている。
パナソニックや日立のコードレス掃除機も、小型でハイパワーモーターを搭載して、吸引力を高めている。
今のコードレス掃除機は、強いモーターと容量の大きなバッテリーとの組み合わせ、空気の流れも考えたデザインにより、優れた吸引力を発揮するようになっている。
ハンディ掃除機としても使用できる
コードレス掃除機にはいろいろなアタッチメントがついている。
最近のコードレス掃除機は、アタッチメントを取り替えることで、いろいろなところを効率よく掃除できる様な構造になっている。
例えば、ダイソンのV11なら、『ソフトローラークリーナーヘッド』『ダイレクトドライブクリーナーヘッド』『コンビネーションノズル』『隙間ノズル』『ミニ モーターヘッド』『ミニ ソフトブラシ』ととても多くのアタッチメントがついている
例えばパイプを外して、『ミニ モーターヘッド』に取り替えれば、ベッドやソファ用のハンディ掃除機に早変わりするし、『コンビネーションノズル』に替えれば、テーブルの上の汚れを取り除くハンディ掃除機になる。
パイプを外してアタッチメントを取り替えれば、ハンディ掃除機になるのもコードレス掃除機のメリットである。
コードレス掃除機のデメリット
メリットがあれば、デメリットもあるものだ。
コードレス掃除機ならではのデメリットを紹介しよう。
バッテリー容量が心配
コードレス掃除機を動かす上で最も大切なパーツがバッテリーである。
実はこのバッテリーの容量がコードレス掃除機の弱点でもあるのだ。
充電容量の問題
コードレス掃除機は、バッテリーに充電された電力で可動する掃除機だ。
バッテリーの電力を使い切ると、残念ながらコードレス掃除機はそれ以上働いてくれない。
例えば、ダイソンのV11なら、通常モードで20〜30分、MAXモードで8分が限度である。
ただ、V11のようにバッテリーの残量が表示されるタイプなら、あとどれくらい使えるかがわかるので便利だが、そうでないコードレス掃除機はあとどれくらい使えるのかがわかりにくい。
中にはシャープやマキタのようにバッテリーを交換可能にしているコードレス掃除機がある。
このようなコードレス掃除機なら、バッテリーを逐次、充電済みのものと交換して掃除を続けられるが、そうでないタイプは充電切れになればそれ以上掃除を続けることはできない。
コードレス掃除機を使う上では、バッテリーの容量に限度があり、使い続けるには時間的な限界があるのが、コードレス掃除機の最大のデメリットである。
バッテリーの寿命
最近のコードレス掃除機のほとんどは、バッテリーに高性能なリチウムイオンバッテリーを採用している。
リチウムイオンバッテリーは、メモリー効果もなく、充電容量も大きい優れた充電用バッテリーである。
だが、いかに高性能なリチウムイオンバッテリーといえども、化学反応で電気を溜め込むというバッテリーの性質は、そのほかのバッテリーと同じであるので、充電回数には限度がある。
つまり、リチウムイオンバッテリーそのものに寿命があるのだ。
コードレス掃除機を使う頻度にもよるが、寿命に到達したバッテリーは、使用時間が大幅に短くなるので、交換しなければならない。
バッテリーが取り外し可能なコードレス掃除機ならいいが、取り外せないタイプならコードレス掃除機そのものを買い換えることになる。
充電が必要
コードレス掃除機はバッテリーに充電しておいた電力で可動するので、バッテリーが空になってしまったら掃除はできない。
コードレス掃除機のバッテリーの可動時間は携帯電話のように長くないので、一度使ったら、コードレス掃除機をルーチンで充電器にセットするようにしておく必要がある。
つまり、充電する手間がかかるデメリットがあるわけだ。、最近は充電台が付属しているシャープが人気。本体をどこに置いても問題ないのだ。
寝室に置いて、リビングで充電ができるというのが人気のポイントだ。
価格
コードレス掃除機の価格は、総じて高めになっている。
ダイソンのV11は、アタッチメントの種類によるが6万円〜8万円ほど、V10は5万円ほどである。
2019年夏に発売されたパナソニックのパワーコードレスMC-SBU630Jは9万円ほど、シャープのRACTIVE Air POWER EC-SR3Sは6万円ほど、日立のパワーブーストサイクロン PV-BH900Gも6万円以上となかなか高額だ。
一方、ダイソンのV6やV7のようにメーカー直販サイトでも2万円台、3万円台で購入できるコードレス掃除機もある。
どのメーカーのコードレス掃除機も、モデルが古くなれば価格は下がるようだが、新しいモデルを望むとやはり高額になると言わざるを得ないだろう。
少しでも安く買いたい人はチラシを確認するのが安く買う近道になる。
掃除機の場合、チラシに無料で引き取り、下取り3000円値引きなども掲載していることもある。
無料のアプリで「Shufooシュフー」という便利なツールが存在する。
無料で会員登録をするだけ。お金はかからないので損はしない。お店ごとのチラシを簡単に比較できる。
前からあったが私は最近知った。スーパーはドラッグストアも見ることができるぞ。
掃除できる部屋の数に限度がある
例えばダイソンのコードレス掃除機は、強モードで5〜8分、中モードで20〜30分、エコモードで最大60分の可動時間、パナソニックのパワーコードレスMC-SBU830Jは強モードで6分、自動モードで25〜50分、ロング運転時で最長90分間である。
おおむね、どのメーカーのコードレス掃除機もこのような可動時間となっているようだ。
1部屋あたり、どれくらいの時間掃除するのかによっても変わってくるが、それほど多くの部屋を連続して掃除し続けることができないことがわかっていただけると思う。
まとめ
コードレス掃除機のメリット・デメリットを紹介した。
ただ家電は日々、進化するものだ。少しずつデメリットは解消するはず。掃除機は今後、コードレス式しか販売しない可能性だってありえるのだ。
これから購入を検討している人にとって参考になればと思う。